すでに唐十郎は伝説の人物で

その伝説は生きて目の前を走り回っていた。寺山修司はテレビで競馬解説をする訛りのきつい目つきの鋭いおじさんとみえていた。

新宿の駅前、草原にたてられたテントの中で、ぎゅうぎゅうに詰め込まれたまま。根津甚八を見た。あれはきっと根津甚八だったと思う。その芝居の最後、テントの天井は開けられ、根津甚八は空へ飛んでいった。紅テントの芝居を見ている。そのことが僕を満足させていた。中身はさっぱりわからなかった。見ていることがかっこよかったのだ。状況劇場と天井桟敷の芝居は僕の中で、見ていることが重要だった。仲間と熱く語る、そのことがうれしかった。

彼の死もまた若すぎる。