東京の街並みを歩いていると

この建物は倒れてしまうのではないか。このビルは大丈夫だろうかと考えてしまったものだった。高速道路は倒れ,ビルはふたつに割れていた。娘の通っていた幼稚園の100mほど手前でバスが宙づりで止まっていた。幼稚園の庭で娘を待ちながら高村薫の新作を読んだのは,あの前年の秋だった。その幼稚園は建て直されることなく家の近くに移転した。オウムの事件と同じ年だったから,ずいぶん前のことだ。大変な冬だった。

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