あの日の駅前の風景は違っていた

新大阪から尼崎までの風景は普通だった。普通だったことが意外だった。普通すぎた。
何度も乗り降りした甲子園口駅を外に出たときの風景は数週間前とははっきり異なっていた。路上のアスファルトがゆがんでいた。崩れてしまった建物があり,なくなってしまった家があり,ゆがんだ建物があり,何の変化のないように見える建物があった。
風景は違っていたのだ。震災の直後のことだ。